ベトナムの水(水道水)について
① 地域による違い
ベトナムと一口に言っても、南北に長い国土を持つベトナムでは地域によって土壌などの違いがあります。その為、水質にも大きな違いが生まれてきます。
一般的にホーチミンは日本と近い軟水であり、ハノイは硬水です。
硬水にはカルシウムやナトリウムが多く含有されているため、コーヒー・紅茶などの飲料や料理での煮炊きで使用される際、味への影響が少なからずあります。また、硬水では石鹸が泡立ちにくい為、洗濯時に汚れが充分にとれないなどの影響もあります。
② 水道処理時に投入される塩素の残留
塩素はカルキ臭さの原因となるだけでなく様々な問題の原因となります。
肌や髪のタンパク質を破壊し、アトピー性皮膚炎を悪化させる原因ともなります。
また、塩素を多く含む水道水にはトリハロメタンによるリスクもあるという問題も見過ごす事ができません。
トリハロメタンは発ガン性物質であり、 中枢神経・腎臓・肝臓といった器官にも悪影響を与える事が分かってきました。
このトリハロメタンは塩素が微生物を分解した際に発生します。
トリハロメタン類の摂取による影響は・・・
・アトピー性皮膚炎の悪化
・喘息の悪化
・集中力の低下
・疲労感
・イライラなどの症状
煮沸してもトリハロメタンは除去できなく、煮沸する事によって更に増加してしまう事も分かっています。特に赤ちゃんは抵抗力が弱いため、粉ミルクを作る時など、大人以上に気を使ってあげなければなりません。
ただし、塩素による消毒が不十分ですと大腸菌などの発生を抑えられませんので、もろ刃の剣であると言わざるをえません。
ベトナムにおける塩素の投入量は地域・建物・季節によって異なります。
水道局を出た後の水道水には日本の基準の10倍近い塩素が含有されているとも言われており、これが地中の水道管を通ってくる内に消化されます。
建物に到着した水道水は屋上に設置されたタンクに貯水され、必要に応じて家庭で消費されます。直ぐに使用されれば塩素が残留されている水となりますが、長期間タンクに貯水された状態ですと塩素が抜けて雑菌発生のリスクが高くなります。
物件や地域によっては塩素が多く残留された水となり、一方では塩素の極めて少ない、別のリスクの高い水となります。
③ 水道管 (雑菌や鉛)
水道水の中に不純物が混じってしまう主要な要因の1つとして、
ベトナムの排水管や水道管配置のずさんさと老朽化があると考えられます。
水道管を通して貯水槽へ供給される際に、プランクトン・雑菌などが発生する場合があり、それらは塩素同様にお肌が荒れる原因になったり、各種病気の原因となります。
また、ベトナムでは未だに鉛の水道管を使用している箇所が多々あります。
(日本では鉛が溶け出すなどの危険性から現在では使用禁止になっています )
鉛は人体に吸収されやすく体外に出にくい物質です。
鉛の蓄積によって引き起こされる害とは・・・・
・脳炎
・痴呆
・腎臓障害
・不眠や疲労感
・頭痛
・消化管障害
最も問題とされるのが子供への影響です。
学力低下や記憶力低下の原因となることもあります。
④ まとめ
ベトナムでは、都市中心部に関して言えば水道網が敷きめぐらされていますが、水道管の老朽化や貯水槽の清掃不足などにより水質が悪化してしまいます。
飲料水はもちろん、炊飯や野菜洗浄に使用する水や、浴室の水にも気をつかうことが必要です。